青白い部屋の中
ベッドはふわり浮かんだ
小さな王の玉座になる為に
ぼくを繋ぐカテーテル
今や戒めは解かれ
転がる包帯の絨緞
その上をベッドはどこまでも飛んだ
このからだが動く朝に向かい
あまたの冒険乗り越えて
90日目に辿り着いた
真夜中の学校
燐光時計台
薄荷色の非常灯リノリウムの床に響く
靴音
ツルリ透き通る闇
廊下に映るガラスの影
白い陶器とシャボネットの匂い
腕時計でケロイドを隠しながら手を洗った流し
黒々と水をたたえ
蛇口の水滴光る
僕の沈められたバケツも
きれいだと思った
雨漏りを見つけてみんなと騒ぎたかった
誰一人としていない黄昏の教室
誘うみたいに稲穂色の
カーテンが揺れているんだ
窓から身を乗り出して
頭上には雨上がりの校庭
日陰で育った向日葵
濡れたアジサイの花壇
むしろ羽根は要らない
この手でしがみついていたい
鈍く光る銀の窓枠
ひからびて項垂れた蜂の横たわる
わずか2cmの銀の掛け橋
荒げていた息をついて
首を教室に戻した
そこにあなたは居た
壇上には孤独の紳士
誰もあなたを見ていなかった
あなたも僕らを見なかった
僕らの遥か頭上を
雲の中を魚が泳ぐように
あなたの目も泳いでいて
無色透明な時間はゆっくりと
午後の太陽と共に暮れ
チャイムが流れると同時に
質問も受け流して逃げるように教室を出ていく
相手をしてくれないのが悔しくて
生徒はあなたを憎らしくおもった
そのあなたが泣いていた
もう名前も忘れたけれど
夏休み前には5をとった
赤信号をわざと渡ったのは昔の話で
本当に事故だったんだよママ