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皆が観察した所に依ればそのフラミンゴは厳かな死を迎えたという。
我らの英雄であり善き友であり犠牲者となった彼に我々は畏敬の念を示すと同時に、
彼の一生から譲り受け、共に過ごした時についてを語るべきであろう。
安らかに眠りたまえ。我らが同胞よ。
彼は敬虐な男であった。華奢な体躯は30年を生きた。
『余裕のない人生は御免だ』というのが口癖だった。
この街で埃にまみれ生きる我々を、
誇り高き眼差しを、代表したのは彼であった。
我々は今でも思い出せる。魂こそ肉体の錨である事を、
血であがなうは容易い事を、我々は決して許されはしないという事を。
思い出せ彼の事を。
彼の子供が産声をあげなかった事は我々の不幸以外の何者でもない。
我々の産婆は手を尽くしたが、もはやなすすべは無かったという。
今にして思うと、
彼は的になる事をも承知していたのだろう。
時計の針はただ小刻みに震えるのみであり、
時間を捕らえて進むだけの余力はなかった。
偉大なるフラミンゴは微かに笑った。
子供らの頭を撫で窓辺に立ち、細く長い足を見せ、
まっすぐに飛び立って撃たれた。
彼は妻帯者であった。仕事仲間の女性記者と結婚した。
彼は喫煙者であった。煙草を好まぬ妻とよく喧嘩をした。
彼は愛妻家であった。妻の浮気を咎めなかった。
(彼女の指輪を抜き取った時、妻は怒りから灰皿を投げ付けたので、彼は飛べる様になったという。)
彼は男鰥であった。彼の妻は教会から飛び下りて死んだ。
彼は犯罪者であった。アリバイを証明できなかったゆえに。
彼は崇拝者であった。服役中に妻に捧げる懺悔を記した。
『妻はもう死んでしまったから、私を許す事は無いだろう。それでも私は贖おう。此の身に彼女の真実の言葉を刻み付けて生きよう。』
妻を許した夫は、しかし妻には許されなかった。
密通の事実がなかったゆえに。
陰謀を証明せんが為に 。
彼女は壇上の夫に呼び掛ける直前に死んだ。
産婆は赤子の首を絞める。
我々は彼の後継者を迎える訳には行かなかったのだ。
彼はどこまで知っていたのだろうか。
私は知っている。
どこまでもお前は敬虐な男だった。自分の思想にがんじがらめの。
寛容である事はさほど重要であろうか?
慈悲は選ばれた者のみが与えていれば良い。
理解すればこそ許しあう価値も生まれよう。
私達は不毛な器に過ぎない。
誰もがおまえになりたがった。
誰もがおまえに憧れた。
おまえの心を知らない故に。